非課税とゼロ税率の違い

食品の消費税をなくそうとの発言が多く聞かれる昨今ですが、食品は「非課税」とすることと、食品は「税率0%」とするのでは一見同じと思われるかもしれませんが、物価には大きな違いがあります。
食品を100%販売しているスーパー等小売業を例にとると、売上が非課税ですからこの社は受け取る消費税は0円です。しかしこの社は仕入以外にも電気、運搬管理、広告等々様々な経費がかかり、そこには消費税がついており、社の負担となっています。従来ですとこの社は売上で受け取った消費税から費用に含まれる消費税等は納付相殺していましたので消費税の実質負担は0円でした。ところが非課税売上分に対応する消費税はどことも相殺できませんので経費等に含まれる消費税はこの社のコストになってしまいます。これではこの社は利益減額となってしまいますから、当然売上単価にこの相殺できなかった消費税相当額を上乗せします。この現象は食品仕入の無い生産者(農家)にはもっと顕著に現れます。よって消費税8%分値段が下がると思っていいると当てが外れることになります。(消費税は無くなったけど元の税抜き価格が上昇する)
一方税率0%は消費税システムが無いわけではないので、社の経費についてきた消費税は相殺します。しかし相殺する相手が0円ですから、税務署より還付してもらうことになると思われます。それなら社は売り上げ単価を値上げしなくても良いわけですから、物価は下がります。
しかし、物流通過程の中では、生産者をはじめ様々な社に消費税の還付場面が出現してくるでしょう。本来徴収が目的の国税当局が逆の行為をするのは望まないであろうし、多くの諸問題出現が予想されます。よって0%の処置をとるのもあまり適切とは言えないと予想されるところです。
消費税インボイス

消費税インボイス制度がスターとし、小規模の免税事業者の仕事が減ったり、税金の負担が増えたり等、諸問題が多く発生しています。又会計処理においても金額的に些細な取引で税額にほとんど影響の無い事項まで、多額な取引と同様の書類をそろえなくてはならない等、企業にとって負担が多すぎる事柄が問題となっています。
これはこの規定がまだ実情に合致していない部分が多くあることが理由です。よって施行以後対応処置が時々発表となっており随時取り扱いが変わっています。疑問が発生しましたら早めに専門家に相談して対策をとるのが得策と考えます。
インボイスが無くてもOKの場合を紹介

【農協特例】(農家)
売手である農業者には適格請求書発行が免除され、買手は、農協が発行する適格請求書により仕入税額控除を受けられます。
農業者(売手)は、適格請求書発行事業者である必要はありません。
農業者(売手)が免税事業者でも、農協を通すとで適格請求書に代わる請求書や領収書を発行することができます。

【卸売市場特例】(漁師、農家)
卸売市場を通して出荷者から販売される生鮮食品などは、出荷者(売手)が買手に直に適格請求書の交付義務が免除されます。

【古物商特例】 (自動車の下取りや貴金属の買取)
古物商や質屋が行う一定の取引について、適格請求書の保存が不要
(帳簿のみの保存)で仕入税額控除を行うことができる特例です。
この特例が適用されるためには、以下の要件を満たすことが必要です。
古物商許可または質屋許可を取得していること
古物営業法上の「古物」に該当する物品を取り扱っていること
買手が適格請求書発行事業者でない場合で、売り手が適格請求書発行事業者であった場合は、仕入税額控除を行うのに、帳簿のほか適格請求書等(古物商・質屋が作成する仕入明細書等)の保存が必要です。

【振込手数料差引&端数値引差引】
税込み10.000未満の売上の返還はインボイスが免除されます。
差し引かれた振込手数料や端数値引されての入金は金額が1万円未満であれば、従来通りインボイスは必要ありません。
ただし、あくまでも売上値引ですので今のところ会計処理は注意が必要です。
【少額特例 (基準期間の売上が1億円以下)】
1 少額(税込1万円未満)の課税仕入れについて、インボイスの保存がなく
とも一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除ができます。
これは取引先がインボイス発行事業者であるかどうかは関係なく、
免税事業者であっても同様です。
2 基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における
課税売上高が5千万円以下の事業者が、適用対象者となります。
【意見】
3 なぜ1億円以下だけに区切るのか、不明です。